積みゲー崩しと備忘録のようなもの

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Road96

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ひとりの名も無き少年少女となって国外脱出を目指すゲーム、『Road96』の感想です。

 

一言感想:自由。それ以上に重要な事はありません。

 

あらすじ

1996年の夏。
現大統領による圧政に苦しむ国、ペトリア。

この国に生きる若者として生活する10代の主人公はこの国の未来を憂い、自由を夢見て国境を目指し旅をする。
現大統領のタイラックは許可なく国境を越えることを禁じており、家出少年(少女)である主人公は指名手配犯として追われている。捕まれば全てが終わってしまう。

主人公は旅の途中、様々な人に出会い一時の交流をする。
彼らとの出会いが主人公の、そしてこの国の未来を変えるかもしれない。

ゲームについて

・日本語音声……なし。英語音声です。
・日本語字幕……一応あり。ただ、翻訳アプリを通したようなかなり雑な文体なので注意。口調が突然変わる、誤訳珍訳、選択肢でどちらも同じものが出てくる(原文では違うらしい)、etc…

一例:とあるところで出会う『外を見る』さん。

・主人公……10代の少年or少女。見た目も声も名前もわからない子供たち。
・仲間……基本的には一人旅。旅の途中で出会う人々との交流は多くの場合その場限り。
・ゴア表現……エログロ系は無し。ちょっとしたホラー要素がお遊び程度に紛れ込ませてあるくらい。

 

わたしの場合、1周目終了時点でプレイ時間は9.3時間でした。
登場人物のイベントを全部見るなら周回前提です。
わたしは2周目でイベント全回収・実績全取得(その時点でプレイ時間17時間)しましたが、1周目と被ってしまうイベントが圧倒的に多い&ムービーや既読文章がほとんどスキップできないので後半は正直しんどかったです。
翻訳で没入感が薄れてしまったのも大きいかもしれません。
くそっわたしにまともな英語力があれば……。

 

感想(※この先ネタバレあり)

このゲームを遊んだ方は口を揃えて「音楽が良い」と仰っていたのですが、本当に良かったです。
1996年が舞台なこともあって再生するのがカセットテープなのもノスタルジックでとても良い。

 

※この先はスクショも含めネタバレがあります。
登場人物たちのイベントや関係についても言及しているのでご注意ください。

 

ストーリーについて

1周目ではよくわからなかったので最初から最後まで「へえ……まあいいっすわ、僕は国外に出ますんでこんな国どうなろうが……」の姿勢を貫いていたらかなり後味の悪いエンディングに辿り着いてしまいました(でもエンディングによって変化する(?)スタッフロール、このエンディングだと陽キャ開発陣が楽しそうにしている写真が流れていったのでめちゃくちゃ笑顔になっちゃいました。こういう遊び心大好き)。
ラストの選択は戦わずに即逃げしました。死にたくないもん!
その結果、せっかく国外に逃げていったはずのゾーイがわざわざ戻って来て革命に参加し、命を落としてしまいました……。
ゾーイはすごいなぁ。自分だけが助かりたい、じゃなくて、本当にペトリアの未来を良くするために頑張っていたんだ。あんなに若い上エリートの父親がいる勝ち組なのに。

 

様々な脱出経路が用意されているところ、好きです。
中でも印象に残っているのは山越え。
というか、少しでも寝相が乱れたら落っこちて死ぬような高さのところで寝るヒッチハイカー(主人公)。
心臓に剛毛が生えてるとしか思えないメンタル。

あと、海外勤務に応募して「合格です!国の為に働いてきなさい。任期は5年です。いいですか?5年ですからね!」→自由。それ以上に重要なことは~(脱出成功ナレーション)の流れが面白すぎて爆笑しました。
こんなに国境警備厳しくしてるのに海外で働く人への監視がザルすぎませんか。
そりゃ合格したら即逃げるわ。

 

……ちなみに2周目は最初から最後までずっとフローレスさんに投票して国を変えようよ!」と言い続け、行く先々で見るタイラックのポスターに落書きして回りました。最後の革命戦闘にも参加。
その結果、なかなか良い未来に辿り着けそうな予感のエンディングを迎えられました。
このエンディングだと、スタッフロールで流れる写真がメイン登場人物たちの明るい未来のような写真でとても後味が良かったです。
一堂に会する事の無かったメイン登場人物たちがみんな揃って笑っていてじーんとしました。スタッフがキャラクターを愛してるのが伝わって来て素敵でした。

キャラクターについて

ソーニャ

最初は正直、苦手でした。
有名人なのに気性が荒い感じでとにかくあのキンキンした声で怒鳴る怒鳴る
「この人はいちいち怒鳴らんと喋れんのか?」とイライラしていました。
2周目に入ってからはもう彼女の癇癪にもすっかり慣れ、むしろ可愛く見えてくる場面が多かったです。
「アダムのバカが事故ってリムジンが壊れた~」って車に乗り込んできた上、ダンスパーティ~!とか言いながらボロ車の窓から身を乗り出して落っこちたのを見て1周目では「馬鹿じゃねーの」と思ったのに2周目で改めて見るとなんだかかわいく思えてニヤついてしまいました。
でもアダムが突き落とされそうになってるのにカメラを落とすなと言われた時は容赦なくカメラを捨てました。人が目の前で死にそうになってるのにそんな命令聞けんわ。
10代の心に消えないトラウマ残ったらどうしてくれんのよ。
終盤スタンとミッチに会って「ハグして!今すぐ!」「もう1回ハグして!」と嬉しそうにしている姿がとても可愛くて良かったです。
でもアダムは良くこの子に好意を抱けるな……とも思いました。確かに顔は可愛いけどさぁ……。彼はドMなの?あれはSMプレイの一環?

 

スタンミッチ

見るからに強盗なのに家出少年少女を何度もヒッチハイクで乗せてくれます。
主人公、こんな明らかに危なそうな覆面被った人たちのバイクにホイホイ乗るなよ……。
でも主人公には優しい事もあり、なんだか憎めない2人。
こんなに派手な見た目で強盗を繰り返していたらすぐに捕まりそうなものですが毎回上手く逃げおおせています。
彼らの「スタン&ミッチ!」という掛け声が可愛くて好きです。

 

ゾーイ

本作のヒロイン。明るくて心優しい良い子。
ゾーイとは確定イベントがいくつかありますが、わたしはその中でもキャンプ地でゾーイの楽器を吹く場面が好きです。まあ吹いたら笑われるんですけど……。笑
むしろトロンボーン即興で吹けるのすごすぎるって褒めてよ!経験者じゃないとどこまで動かせばどの音が出るかさっぱりわからん楽器じゃないですか。そもそも金管楽器でまず音を出すこと自体が……
でもまあ夜中の3時に吹いてたら怒られるのは当たり前だと思います。誰でも怒るわ。なんでそんな時間にそんなことしたんだよ。
わたしは1~2周目共にゾーイを助ける事を選択させ、代わりに主人公はその場で射殺されてしまいました。
わたし自身はプレイヤーとして何度もゾーイに会っており、彼女を生存して外に逃がせばペトリアの闇が世間に公表されるかも……ということを知っているから出来る行動でしたが、その時に初めてゾーイに出会った主人公自身にはそんな事情関係ないので冷静に考えるととても酷な選択をさせたなと思います。自分が脱出したかったよね……。

 

ジョン

1周目で初めてジョンと出会ったイベント、よりによってヒッチハイクで彼のトラックに乗ったら彼が居眠りを始めるイベント”だったので、最初は正直言って印象最悪でした。
「車を止めて寝て!死にたくないんだよ!」と懇願したら笑われましたからね。笑い事じゃねーからなマジで!💢💢💢💢💢
もう少し一緒に行くか?と言われましたが爆走で運転しながら2回も寝こけた人の車に乗ってたら本当に死ぬと思ったので断って歩きました。怖すぎて。
しかし彼がアレックスを気遣う姿は優しくてとても良いなと思います。ジョンはきっと良い父親になるでしょうね。

ファニー

本作で一番好きなのはファニーです。優しくて大好き。
初めて会った時、あまりの瞳の綺麗さに「絶対いい人」と思っていたらやっぱりとても良い人でした。
初めてアレックスが“育ての母”に連絡を入れた際や、ジョンが“母熊”へ連絡をしているのを聴いた際は「インディーゲームだから声優さんを雇うお金を節約するために複数の人に同じ声優さんを使ってるのかな?それとも相変わらずわたしの耳がイカれているせいで別人の声が同じに聴こえてるの?」と混乱しましたが、ちゃんと理由があって同じ声でしたね。
しかるべき手順を踏んでアレックスを養子にしたのかと思っていたら、あのテロ事件の日、無断で連れて帰って来たらしいです。それって誘拐では……。音声の方では「キッドナップ」と言っていたから本人もそういう自覚はあるみたいだけど。

 

アレックス

アレックスは小生意気ですが可愛くて、暗いストーリーでのわたしの心の癒しでした。
自称天才少年。でも天才の天才には勝てないそうです。かわいい。
身長が低いので大きなリュックが更に大きく見えます。かわいい。
4歳の時に引き取られ、それから10年らしいです。……ってことは14歳!?見えない……もっと小さいのかと……。
しかしそろそろ物心ついていたであろう4歳まで実の両親と一緒に居たのに、彼らのことをもう全く覚えていないというのは事故を目撃してしまったPTSDによるものなんでしょうか。
わたしはもう大人になってしまったので、「生みの親、本当の親」に拘って実の両親よりも長い10年という歳月を一緒に過ごしてきた“育ての母”に冷たく応対するアレックスの姿はとても悲しく感じました。
もちろんアレックスの心も理解できる……とは思うのですが、これはもう当事者にしかわからない傷なんだろうなとも思います。

 

ジャロッド

この人は……いやもう、ただただ怖かったです。
なんでこんな……10代が相手でも容赦なくキレ散らかすような人がタクシーの運転手なんてやってるんですか。
作中でも何人か殺してる感じでしたし、本業は殺し屋なんじゃないでしょうか。
初めて会った時はまだ黒い旅団という名前を聞いてすらいない時に「お前は旅団の一員だろ?」と詰め寄られ、旅団ってなんだよ!日本のオタクだから幻影○団しか知らないよ!と半泣きでした。怖かったよ~。
2周目では警官の死体損壊を手伝わされました。怖かったよ~~~。
この人は元々こうだったのか、娘亡き後おかしくなってしまってこうなったのか、ちょっぴり気になります。

 

ゲーム全体の雰囲気はとても良かったです。荒めのポリゴンがまた良い味を出しているなと感じました。
描きたいものがはっきりしている印象で、マップも見応えがありました。
テキストは結構凝っていて、例えば同じ人物が既に会った事のある人の話題が出ると「知っている」という反応を返すことが出来て良かったです。
ガソリンスタンドに訪れてファニーさんに助けてもらうイベントを経験したヒッチハイカーで終盤警察に捕まった際、先に捕まっている男の子に「お前は誰?」と尋ねると「忘れたの?ガソリンスタンドで会ったじゃないか」なんて反応をされて感心しました。
……ただ、翻訳の精度があまり良くないのに既読スキップ機能が無かった事が周回にあたり結構ストレスでした。
続編?前日譚?が出ているようですが今のところ特に購入予定はありません。いつか機会があればやってみたいです。

 

おしまい!