積みゲー崩しと備忘録のようなもの

ひたすらゲームの感想を残すブログ

Neo Cab

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急に寒くなりましたね。
この時期は飼い猫に布団を取られがちで、早くも風邪気味です……。
皆さまは、どうか体調崩されないようにご自愛くださいね。

 

さて、今回steamで購入したNeo Cabを遊んでいましたのでその感想です。
ロボット運転が主流の街で、人間である女性タクシードライバーが乗客と交流していくシンプルなノベルゲームです。
1周のプレイ時間は相当ゆっくり読んで6~7時間くらいでしょうか。

 

一言感想:ある種、人間の”怖さ”と”強さ”を同時に目の当たりにすることになるシナリオ

 

 

あらすじ

親友であるサビーに誘われ、小さな町を飛び出した主人公のリナ
ロス・オジョスという大都会でサビーと共に過ごす楽しい日々が待っている……はずだった。
何の説明もなく姿を消してしまったサビーを捜し、住むところも頼れる人もいないリナは不慣れな街でタクシードライバーとして働き、親友サビーの行方を追う事となる。

ゲームについて

・日本語音声……ボイス自体無し。
・日本語字幕……あり。翻訳は良くも悪くも『洋ゲーを翻訳しています』感。
翻訳忘れ箇所もちらほらありますが、そんなに頻繁では無さそうです。
・主人公……リナ。サビーという親友を頼って街に来たばかり。
・仲間……リナは基本的に一人行動。代わりに個性豊かな乗客が沢山登場する
・ゴア表現……なし。

 

初期にチェックが入っているテキスト自動送りのチェックは恐らく外しておいた方が良いと思います。
初期設定だと非常に速いので……。

 

感想(※この先ネタバレあり)

※この先は画像も含めネタバレがあります!

 

リナがハンドルを握っている時の手の動き(?)がとても好きです。
確かファーク○イ4でも主人公がハンドルを持ちながら何となく指を動かしていたんですが、それもすごく好きだったんです。
運転中ってなんとなくそういう指の動かし方するよね!わかる!って。

そしてリナのジャーナル可愛すぎる……。
本編と関係ない所で登場人物の手帳や日記が読めるゲームもっと増えますように。

Capraという企業名が出てきただけで初っ端のお客さんに絡みだすリナに笑ってしまいました。

接客業!接客業だよリナー!
相当嫌な思い出があるのはわかったけど堪えて!
……実は10代の頃に初めて利用したタクシーの運転手さんが何の脈絡もなく突然政治批判を始め、降車するまでずーっと当時の政権をボロクソに言われて困惑した経験があるんですが、その時の事を思い出してしまいました。笑

 

自分の感情を見透かす装置。
最初こそ「え!便利そう!」と思ったんですが、良く考えてみれば本音と建前を使い分ける大半の日本人には合わない装備かもしれないなあと思いました。
わたしがこれを付けてしまった日には、表ではへらへらしつつ腕のFeelgridは真っ赤という激ヤバ状態になりかねないです。
しかし、いつか本当にこういう未来が来そうですよね。
スマートウォッチもVRも、ほんの数十年前は考えられないような代物だったでしょうに今や浸透しつつありますし……。

 

☆ここからは少し、個人的に気になったお客さんについて書きます。

 

・リアム
話していて一番ほっとする人でした。
リアムがリナの乗客第一号になってくれて良かったと思います。
写真を撮りながら旅をするって素敵ですよね~。
諸々センスがあればわたしもやってみたかったな。

 

・フィオナ
彼女の抱えている悩み事のところどころが今自分の抱えている悩みと偶然リンクしていたため、放っておけない気持ちになっていたキャラです。
最終的にはリナと同じく大好きな人に別れを告げたフィオナさんでしたが、彼女の見据える先は明るそうでした。
魅力的で可愛らしい人だと思うので、フィオナさんにはすぐにでも“本当に好きな人”が見つかりそうですよね。
幸せになってほしい!

・カルロス

リナの好みはこういう男性なんですねえ。
目元のきりっとしてる人が好きなのかな。
頭も良さそうだし穏やかだけど、無免許医師はちょっと危なすぎん?

☆ここからは全体を通して(というよりリナ&サビーに関して)の感想。

大喧嘩の末、それっきり何年も連絡の取れていなかった親友からの連絡。
非常にわくわくしているリナの心境からゲームはスタートします。
飽くまでも日本語に翻訳された文章から受ける印象ですが、リナからサビーへの感情は同性の友人に対するそれというよりは、恋人に向けるような感情っぽいなと感じました。
都会で大好きな親友と過ごす、新しい街での生活。
期待に胸を膨らませていたリナの心はロス・オジョスに来て早々に打ち砕かれてしまうことになります。

……うーん、しかし……。
リナ→サビーへの感情は上記の通りなんですが、サビーは初めて会った時からわりとリナとは一線を引いているというか、「友達以上の感情は無い」ようなドライさを感じていたんですよね。
かなり早い段階から彼氏の話もされていましたし。
リナはサビーにとても依存してしまっているけれど、サビーの心は恐らくリナには無い。
話を進めて行けばもう少し救いが見えるかな……と期待していましたが、むしろ全くその逆で、サビーはリナを“この子は好きなように利用してもいい人間” ”傷つけてもいい人間”と考えている事が明らかになってしまったラストでした。

短いシナリオでしたが、これ人によっては結構身に覚えがあって傷つくんじゃないかなあと思いました。
特に女性だとわりとありません?こういう経験……。
具体的に言うと、相手のことが大好きだから言われるまま尽くすんだけど、そのうち「あ、この子って私の事下に見てるんだな……」「あ、この人全然私の気持ちなんて考えてないんだ。馬鹿らしいな……」と嫌でも自覚してしまう事件が起きてそのまま縁を切るような経験。
人たらしは自覚なくそういう事をしてしまう事も多いのでしょうけれど、リナVSサビーの最後の言い合いを見ていると、サビーは多分『自覚した上でリナをコントロールしようとしている』んだろうなと感じてしまってとても嫌でした。
リナには悪いんですが、サビーみたいな人わたしはきらいです。

 

初めての口喧嘩ではサビーとの言い争いに負けてしまいました。
そして2人で路上へ出たところ、案の定警察に止められてしまい……。
しかしサビーはそうなっても「私のせいじゃない。私はこのNeo CabにFeelgridを落としただけ」と言い出し、しれっとリナに罪を着せようとする。
無事に釈放されたサビーは何事もなかったかのようにリナのタクシーに乗り、リナは「サビーが一番大事……」と自分に言い聞かせて言われるがまま車を走らせる……というエンディングでした。
エンドロールが流れ始めた際は「くっそ~!百合じゃなくて悪い女に騙される女の物語だった~!!」って叫んでしまいました。
なんなんだよこれはよぉ!
ふざけるんじゃないわよ!(大暴れ)

……でも、だからと言って、サビーと決別したエンディングで完全にすっきりしたかというとそうでもないんですよね。
リナがどれだけ傷ついてもサビーは変わらなかった。
だからリナはそんなサビーに見切りをつけてロス・オジョスを去っていく。
人間と人間の信頼・友情の終わりがあの短い時間でこれだけリアルに描き出されるのはすごいことだと思いました。
だからこそ胃が痛いし傷つきました。
友情も愛情も、どれだけ長く育んできても切れるのは一瞬。
……身に覚えがありすぎるよ~~~!
リナの立場としても、そしてひょっとしたらサビーの立場としても。
サビーとのやり取りはもちろん、クソみたいな乗客や聖人のような乗客とのかかわりも通して、自分自身が今までの人生で出会ってきた色々な人との出来事を思い出して苦しくなるゲームでした(※多分ここまで考え込む奴は稀)

自分の人生であの時優しくしてくれた人の事とか、逆に良くない態度を取ってきた人の事とか。
逆に、あの時あの人に随分不誠実な事をしてしまったなあ……とか、そういう諸々を思い出してしまう不思議な感覚。

いやあこれだからゲームはやめられない。
まさかプレイ時間10時間ほどでこんなズタズタな気持ちになるとは……。

 

人の為に頑張る事が必ずしも自分の為になるわけではない、ということの描き方がいちいちリアルでした。
サビーだけじゃなく、なんなら乗客の中にもリナの厚意を踏みにじっていく人がいてプレイヤーのわたしが勝手に傷ついたりもしました。
サビーと決別したリナの人生が、どうかより良いものになりますようにと願う事しか出来ないのが歯がゆい。
わたし個人は絶対「リナは間違ってない!」と思っていますが、彼女がこの先後悔しないといいなと願っています。
……サビーには反省してほしいし後悔してほしいですけどね!(捨て台詞)

ところで、サビーと決別するエンディングの場合、ひょっとしてCapraが失脚したルートとそうでないルートで『最後に乗せた乗客』の台詞も変わる……んでしょうか。
もし登場キャラ全員の台詞を全部見ようと思ったら、かなり周回しないといけなさそうですね。

(2022.10.26追記)

登場キャラ全員分のラストドライブがあるのかなーと思っていましたが、どうやら最後に一緒にドライブできる人、物語のキーパーソンとなる人物は決まっているようです。