積みゲー崩しと備忘録のようなもの

ひたすらゲームの感想を残すブログ

Beholder

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store.steampowered.com

steamで購入したBeholderを遊んでおりました。
遊び終えての感想です。(DLCは未購入です)

 

ゲーム内容→監視&密告&闇&マルチエンディング

 

 

あらすじ

主人公、カール・スタインは2人の子供と妻と共に暮らす一家の大黒柱。
物語は家族4人でとあるアパートの地下室に引っ越してくるところから始まります。
カールは政府の命令を受けてこのアパートの管理人として働くことになっており、アパートに住む人たちを監視して“違法行為”を働いていないか、政府が禁じた物品を"違法所持"していないか、昼夜目を光らせることとなります。
違法行為を働いている住人を見つけた場合は警察を呼んでしょっ引いてもらっても良し、見逃す代わりに口止め料を請求するも良し。
自身の生活のために他人を犠牲にするか?家族を見捨ててでも正義を取るか?
最終的にカールとその家族たちが迎える結末とは……。

 

Tips

攻略の時に自分が躓いた or もっと早く気づけば楽に進んだかもと思ったポイント


・本作はオートセーブのみ。タイミングはタスク発生時?
・命令が出されると違法物品の価格が跳ね上がる(一部を除く)。命令が出る日と内容は決まっているので、命令が出る前に該当アイテムを購入・窃盗しておくと後で売ったり住人の部屋に置いて脅迫することでお金儲けができる。
・報告や脅迫の際に入力する必要がある「差出人」の項目は翻訳ミス?実際に入力するのは「“●●は違反行為である”という命令が発令された日付」
間違った報告を上げると罰金が必要であり、脅迫は無視されるが集めた証拠がリストから無くなるので注意したい。
・実は、その部屋の住人が室内にいる時に同時に部屋の中へ入りさえしなければ住人には怒られない。よその部屋の住人はもちろん、その部屋に住んでいる住人に廊下等で思い切り見られている状態で部屋の鍵を開け、室内に侵入してもお咎めはない。
・住人が逮捕されたり死亡すると強制退去もしくは死体が回収され、住人の持っていたアイテムは部屋の前に置かれる。部屋を修理すると消えるので修理前に忘れず回収すること。

 

感想

※以下にはネタバレがあります※

 

 

 

Beholder……見る人、注視する人

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全体的に暗くて後味が悪い。

 

現時点でのプレイ時間は30時間弱です。
ほとんど見習いモードでのプレイ。
解除できていない実績の多さを見るに、恐らく見れていないエンディングが多々あると思うのですがとりあえず自分の中では一区切りついたので記事を書くことにしました。

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公式で日本語対応していただけているだけで有難いのですが、訳が結構あやふやなのでシナリオの理解にはいつも以上に時間がかかりました。
後半は特に、「み、みんな一体何の話をしてるんだ……」状態になってしまう部分も多かったです。

 

あらすじ紹介の方で自身の生活のために他人を犠牲にするか?家族を見捨ててでも正義を取るか?……と書いたのですが、正直なところ「めちゃくちゃ他人を犠牲にしないと家族全員を生存させるのは無理」ですよね、多分。
特に子供の治療費&学費や逃亡費を稼ぐためには「①ひたすら無実の人間に罪を着せて脅迫→②搾れるだけ搾り取って部屋の空きが足りなくなったら無実の住人の違法行為を再度でっち上げて報告して強制退去させる→③部屋前に残るアイテムを回収→繰り返し」というクズの極みな行動を行わないといけませんでした。
態度は悪いけれど違法行為・所持は一つも行っていない住人もいれば、違法行為・所持だらけでも特にその人自体には腹も立たないこともあって。
かと思えば、報告をしても政府側の人間だからなのか(?)絶対に逮捕されずこちらが罰金を払わなければならない住人が居て腹が立ったりもしました。

 

クレヨンみたいなかわいい絵柄で結構容赦ない描写。
自分の密告のせいで住人がボコボコに殴られて地面に張り倒される様子は、初めて見た時はかなり罪悪感がありました。
でもそれも徐々に薄れ、最後の方は何事もなく退去していこうとする住人の家にわざと違法オブジェクトを配置して密告して金を稼ぐ……という人間のクズのような所業を繰り返しました。本当にすみませんでした。

 

タイトル画面と通常画面で流れているBGMがお洒落で好きです。

ちなみにBeholderのサウンドトラックは、2021/02/28現在無料配信されています。ありがたい。
もしかすると意図的なのかもしれませんが音量調整が雑なところが多々あり、特にプロパガンダのあたりは結構音量下げて遊んでいても人の悲鳴が結構な音量でイヤホンから流れてきて怖かったです。

 

お医者さん(アロイス・シパック)が「女の子紹介して」って頼んでくるクエストでは、届いた手紙に付いているメモの女性(クララ)に電話をかけてばかりだったので彼女候補がもう1人いるということに何周かするまで気づきませんでした。ちゃんとお知らせしてくれる分、手紙の方が目立ちますもんね。
でももう1人の女性(ザーラさん)のクエスト怖かったですねえ。「あれは私の姪じゃない!」ってローザさんから言われた時はぞっとしました。
……あ、それからお医者さんの機嫌を損ねるとマルタちゃんの診察を頼んでも「病院に行けば?」という塩対応しかされなくなってちょっと笑ってしまいました。てめー医者だろうが!小さい女の子が苦しんでるんだぞ何かでっちあげて密告してやるぞ!!!……という怒りでいっぱいになりました。笑

 

一生懸命働いて人の為に尽くしてもちょっとしたボタンの掛け違いで事がもっと悪い方に行ったり、ひとつ要望を叶えてあげた相手が更に手のかかる要求をしてきて「マジかこいつ……」と怒りが湧いたり、そういうところが妙にリアルでやるせない気持ちになりました。
息子のパトリック君、「彼女とデート行きたい」→「学校退学になっちゃうから学費出して」はまだわかるんですが、学費出してあげないと鉱山労働に怒って出て行ってしまうし学費捻出してあげても結局「彼女と国外に出ていきたいからお金出して」と言い始めるのでどうやって向き合えばいいのかわからなくなりましたヾ(:3ノシヾ)シ
「学費払えないと大学を退学になる!いやだ勉強したい。鉱山で働くのは嫌!」←まあそうだよね……せっかく入学したんだしね……わかったなんとかするよ。
「好きな女の子とデートに行きたい」←年頃の男子だしね……わかったよ……でもちょっと必要経費が高くない??
「彼女と国外逃亡したいから金を用意してくれ」←は??????????????
お前!妹が病気になったの知らんのか!お前と妹のためにパパが必死こいて金を工面してるの知らんのか!何の罪もない人を陥れたりしながらお金用意してるんだぞ!そんなことならせめて自分でお金用意しなさいよ……。

 

宝くじ当てた人(レオさんだったかな?)、怪しい電話に従って投資させても酷い末路を迎えてしまうし、「家族が一番大事だから」と説得して姉にお金を使わせても酷い末路を迎えてしまう……。どうしてやればよかったんだ。
本人は普通の良い人っぽかったので後味が悪かったです。
自分が見た中だと、果樹園に投資させるのが一番本人が幸せそうだったかな。

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アロイスさんのクエストで何度も出会ったクララさんが他の男性と夫婦になって舞い戻ってきた時は笑ってしまいました。
ていうか逮捕された人には密告者がカールだってことバレてんのかよ……。
クララさんは刑務所の男性陣までも手玉に取って釈放されるなんていう芸当が可能なようなので、マジで相当な美人なんでしょうね。
そんなクララさんの性格に嫌気がさして「彼女を追いだしてくれ」と頼んできたアロイスさんをちょっぴり見直しました(いくら性格が悪くてもそんなに美人だったら手元に置いておきたいって男性も多いのではないかなぁと思いましたが、どうなんでしょうね)。

 

他に住人で印象に残ったのは、元旦那によるDV被害で逃亡してきていた女性、ドーラさん。
銃が欲しいと言われるので渡すと、ドーラは捜しに来た旦那さんを殺害してしまいます。
するとドーラはすぐさま殺人罪で逮捕されていくのですが、刑務所からカールの元へ手紙を送ってきてくれます。
その内容にとても心が痛むのは、彼女が抱えていた恐怖や悲しみを強く感じるからであり、「あなたは立派な人」と言ってくれるドーラさんにおよそ顔向けできないような事(住人に対する監視・脅迫・密告など)を色々とやってきてしまっているからでしょうか。

 

自分がこういった「タスク管理・時間配分をきっちり考えていく」ゲームが非常に苦手(面白くないという事ではなく、自分の能力的に……という意味です)だということはわかっていたつもりなのですが、いやーほんと難しかったです。
それにしても、昨日まで違法でもなんでもなかった事が次々違法行為とされ、人々は自由に本を読んだり好きな恰好をしたりすることさえ制限されていく……という展開は実際に各国で起きていた(そして国によっては今も起きている)事とは思いますが、現代日本で起きたらと思うととても恐ろしいですね。
“平和”な……ちょっと悪意のある言い方をすれば“平和ボケ”している現代日本っていう国に住んでいるからこうやってただ楽しんだだけで終われるけれども……、と色々考えさせられました。

 

 

☆以下、自分の見れた範囲でのエンディングについて。

 

わたしの場合、1周目では……パトリック君は退学となり、マルタちゃんは亡くなり、最終的にマルタちゃんの葬儀代が払えなかったために横領で豚箱行きとなりました。
この世界の警察どいつもこいつもガタイよすぎて笑っちゃう。こんなのに囲まれて殴られたらそりゃ怖いよな……。
「カールがパトカーに放り込まれるのを見に来た。」と淡々とナレーションで読まれてつい笑ってしまった。人の心がない('、3_ヽ)_
「家族は誰もその年の終わりまで生きることは出来なかった」ってことはパトリックくんも鉱山労働のせいで死亡もしくは自死、アンナさんは家族全員死んじゃって自死もしくはお金が稼げずに餓死、またはクーデターに巻き込まれて死亡ってところでしょうか?後味悪い……わたしのせいでごめんよ……。

 

2周目ではパトリック君は退学→鉱山労働者となり、その後旅に出る資金を集められなかったため銀行強盗に参加して殺されてしまいました。アンナさんはプロパガンダに巻き込まれて帰らぬ人に……。
マルタちゃんだけは何とか守り切りましたがこれもギリギリ。“そして誰もいなくなった”展開にならなかったのはよかったけど、やっぱり家族4人でさいごまで過ごさせてあげたかったな……。
国か政府か問題は翻訳があやふやでちょっと良くわかりませんでしたが、公務員たちが逮捕されていたようなので政府ではなく国民の方が勝利したのかな。
それでも戦争は終わらず、善良な若者たちが犠牲になる日々は変わらないようでしたが。

 

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あとは爆弾が解除できずアパートの住人全員死亡したり、売った缶詰が腐っていて怒られたので「いやそれ別の人に頼まれて売ったんよ」って告げ口したらそいつに「よくも告げ口しやがったな」って撃ち殺されたりしました。
なんなんだこのゲーム、うっかりしてると軽率に死ぬじゃん!

 

ゲームが終わる前に強制終了(新聞の裏面左上に隠してある番号に電話)させるとカールが昏睡状態に陥り「お前には何もないのだ!カール!」と告げられるエンディングもあります。
「あなたが何もしないと世界も家族も何も変わらないよ」というメッセージなのでしょうか。

 

3周目ではパトリック君の学費が払えなかったので密告して逮捕させてみました(もはやサイコパス)。
でも、特に彼や他の家族に関してはエンディングで何も見る事はできず。
政府VS革命派は政府が勝利し、市民は相変わらず政府に監視され抑圧される日々。
戦争は継続して若者たちがその命を散らし。
カール・スタインは政府にその働きを認められ、彼のクローンが作られるようになりました。
政府に忠実で冷酷な操り人形の量産は政府にとってとても有難いことだったようですが、残念ながらカール本人はクローンを作る際の実験により命を落としたとのこと。

 

4周目も政府勝利、戦争継続。
結局カールたちの母国の腐りきった状態を改善することは出来ませんでしたが、スタイン一家を全員生存させた上で国外逃亡させることに成功しました。
後味の悪さは残るものの、カールたちだけでも幸せな未来を手に入れることが出来たのでわたしの中では一区切り。
本当はカールたちの母国がもっといい状態になったところを見たかったという思いはもちろんあるのですが、カールたちを国外逃亡させる為に罪もない人々を散々陥れてお金を工面したこともあり、今更何をやっても多分この罪悪感は消えないだろうな……とも感じました。